1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 18:24:49 ID:kZZ9Wzqw
チュンチュンチュン……

ゴシゴシ サッサッ

アニ父「ふんふーん……ん?」ゴシゴシ 

アニ父(なにか落ちている。ああ、アニの絵本か……)ピラ

『お姫様は王子様のキスで目覚めました。めでたしめでたし』

アニ父(アニはこの絵本が好きだよなあ)

アニ父(……いつか王子様が来てくれるのを楽しみにしていたりするんだろうか。ま、まさかな……)

アニ(7)「……じゃあお父さん、行ってきまーす!」

アニ父「! おお、いってらっしゃい。晩御飯作って待ってるから、早く帰ってくるんだぞ」スタスタ チュ

アニ「はーい」チュ

タタタタ……

アニ父「ははは、あんまり急いで転ぶなよー……って、アニはもう大きいから転んだりしないか……」

アニ父(家族の証のこのキスも、もう何回できるんだろうなあ……)

・・














2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 18:27:45 ID:kZZ9Wzqw
アニ(7)「ベルトルト!」

ベルトルト(7)「アニ! 今日は練習お休みの日?」

アニ「うん。ライナーは?」

ベルトルト「ライナーは今日はお手伝いしてからくるって」

アニ「そう。なにしてたの?」

ベルトルト「わんちゃんがいたから遊んでた」

アニ「わんちゃん! どこ?」

ベルトルト「そこに……あ」

クウンクウン キャンキャン

アニ「2匹で勝手に遊んでるね」

ベルトルト「うん。楽しそうだし、手ださないで見てようか」

3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 18:30:18 ID:kZZ9Wzqw

アニ「なにしてるんだろう……。でも残念だなあ、わたしも触りたかった」

ベルトルト「あまがみしたりしてたよ」

アニ「へえ~……」ジーッ

ベルトルト「な、なに……?」

アニ「じゃあ代りにベルトルトがわんちゃんになって」

ベルトルト「ええっ?」

アニ「犬ごっこしよう。わたしが飼い主ね!」

ベルトルト「え~犬ごっこって僕だけ犬なの……」

アニ「犬はわんしか言っちゃだめだよ。はい、始め!」

4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 18:33:49 ID:kZZ9Wzqw
ベルトルト「えっ、わ、わん……」

アニ「うんうん。ベルトルト、お手して」

ベルトルト「わ、わんわん?」ポン

アニ「そうそう! よしよし、ベルトルト良い子良い子!」ナデナデ

ベルトルト「! ……わ、わんっ」

アニ「ベルトルト! ボールとってきて!」ポーン

ベルトルト「わんっ」タタタタ

アニ「よーし、ベルトルトは賢い犬だね! いろいろ教えてあげる!」ナデナデ

ベルトルト「わ、わんわんっ」

アニ「わんだけじゃなくて、くーんとかきゃんきゃんとか言って」

ベルトルト「く、くーん?」

アニ「そうそう。えっと、次はね……」

5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 18:36:11 ID:kZZ9Wzqw

ベルトルト、アニー

ベルトルト「! ライナー!」タタタ

アニ「あ。……」

・・

6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 18:40:11 ID:kZZ9Wzqw
マタナー

アニ「またね、ライナー!」

ベルトルト「ばいばーい! ……ね、ねえアニ、」

アニ「なに?」

ベルトルト「なにか怒ってる……? さっきからどうしたの?」

アニ「……ライナー来たら、勝手に犬ごっこやめたじゃない。楽しかったのに」

ベルトルト「! あっ、ご、ごめ……」

アニ「わたしよりライナーが好きだもんね、ベルトルトは」

ベルトルト「そ、そんなことないよお。二人とも大好きだよ」

アニ「……そう。……じゃあ、勝手に犬やめたベルトルトは罰ゲームね!」

7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 18:50:34 ID:kZZ9Wzqw
ベルトルト「う、うん」

アニ「えーっと……。そうだ、わんちゃんはあまがみが好きなんでしょ?」

ベルトルト「あ、うん。そうだ……あわっ?」ガポッ

アニ「はい、罰ゲーム。わたしの手が口の中にある間、口閉めたらだめだよ」グイ

ベルトルト「……い、いひゃいよアニ……ひめられらい……」

アニ「さっき川で手洗ったから汚くないでしょ?」

ベルトルト「う、うん……アニの手、つめたい」

アニ「ベルトルトのお口の中は温かい。わたしよりあったかい気がする」

ベルトルト「そうなの?」

アニ「うーん……って、駄目じゃんベルトルト。犬なんだから、わんって言わなきゃ」

ベルトルト「あ、わんわん……、んっ、うっふふ」

アニ「え? どうしたの、ここくすぐったい?」

8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 18:55:26 ID:kZZ9Wzqw
ベルトルト「うふ……っ、んくっ、うくくっ」

アニ「あは、ベルトルト、くんくん鼻鳴らして本当に犬みたい。なんか可愛い」

ベルトルト「か、かあいいって……っふ、んく、んふ」

アニ「アハ、こっちもくすぐったいな……。ほらベルトルト、あまがみもして」

ベルトルト「は、はい……」

アニ「もっと強く噛んでもいいよ。どんな味がする?」

ベルトルト「えー……あ、アニの匂いがする」

アニ「へえー」

ベルトルト「……あ、アニぃ……あごはずれちゃいそう……」

アニ「あ、うん。じゃあ、今日は罰ゲーム終わりね」

ベルトルト「ぷは。かは、けほ……」

アニ「もう一回川で洗わないと。ねえベルトルト、おもしろかったし、
   これから罰ゲームするときはわんちゃんのあまがみやってね!」

ベルトルト「ええー……もういいよお……」

・・

9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 19:03:19 ID:kZZ9Wzqw
数年後 壁内、訓練所

倉庫

バタン

ベルトルト「待ってライナー、……」

アニ「……」

ベルトルト(後数ヵ月で解散って時なのに……。ライナーは壁内人類への罪悪感でおかしくなってしまった……。
      ……それで、とうとう……)

アニ「ねえ」

ベルトルト「!」

アニ「ライナーも困ったヤツだね。……近くにいないからってわたしのこと忘れるなんて」

ベルトルト「あ、……ライナーの側で何もしなかった僕にも責任はある……僕が悪いんだ……」

アニ「……」

ベルトルト(アニ……怒ってるみたいな顔だけど……すごく悲しんでる……。
      どうしよう……)

アニ「ベルトルト」

ベルトルト「うん、……?」

10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 19:12:43 ID:kZZ9Wzqw
アニ「ほら、これ」

ベルトルト(手を差し出してる……どうしたんだ)

アニ「あんたが悪いと思ってるんでしょ? じゃあ罰ゲームしないといけないよね」

ベルトルト「え……っ」

ベルトルト(罰ゲームって、子供のときの? アニの……手を噛むやつ……イヤでも……)

アニ「……忘れたの?」

ベルトルト(あ……、アニの表情がどんどん曇っている……っ)

ベルトルト「い、イヤ、忘れてな……、……」

アニ「……」

ベルトルト「……」カプ

アニ「そうそう。罰ゲームのときは、ベルトルトは犬になる。犬なら飼い主にあまがみしないとね?」

11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 19:17:31 ID:kZZ9Wzqw
ベルトルト「……う、うん……」カジカジ

アニ「……」

ベルトルト(……は、恥ずかしい……いい年してアニの手を口に含むなんて……。……だけど……)

アニ「……」

ベルトルト(なんだかなつかしいな……。アニの表情も……少し和らいでくれたような……そうでもないような……)

アニ「これができるうちは、ベルトルトは忘れてないっていう……戦士って証明になるね」

ベルトルト「……う、う……」

アニ「ベルトルト。これからは週に一回、わたしの指をあまがみすること。これが罰ゲーム。いいね」

ベルトルト「!? あ……は、はひ」

・・

12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 19:22:34 ID:kZZ9Wzqw
数週間後

アニ「……そうそう……そのまま続けて」

ベルトルト「……、」ガジガジ

ベルトルト(本当に、あれから毎週、アニの手をあまがみしている。というか、
      申し訳程度にかんだり、なめたりしているだけだけど……)チラ

アニ「ふふ、ベルトルトのつむじが見えるなんて面白いね」

ベルトルト(あ、ちょっと楽しそう。
      しかし……こういう言い方するとなんだけど……これ、普通、男女逆だよな……、
      って、イヤイヤ、これは子供の遊びなんだ、そんなこと気にするのはおかしいぞ。
      ……うう、指が……上顎くすぐったい……。ああ、アニが冷静なだけに妙に恥ずかし……)

アニ「……あ」

ベルトルト「?」

アニ「ベルトルト、一本、白髪が……」

ベルトルト「あえっ!?」

アニ「……これは巨人化じゃ治せないしね……抜いてあげよっか」

ベルトルト「……う、ううん……」

アニ「でも抜くと増えるんだっけ……。よし、もういいよベルトルト」

13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 19:25:54 ID:kZZ9Wzqw
ベルトルト「ぷは……、はあ、!?」

アニ「ふ……いつも頑張っててえらいね、わんちゃん」ナデナデ

ベルトルト「……っ、!」グウウ

ベルトルト(うわ、お腹が……)

アニ「……なに気抜いてるの。……帰ろうか」クスクス

ベルトルト「あ、うん。……」

ベルトルト(アニは、あまがみさせてる間は、ちょっと雰囲気が和らいで、
      子供のときのような感じになる。
      ……奇妙なことになったけど、これはこれでいいかな)

・・

14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 19:28:03 ID:kZZ9Wzqw
アニ「……ん」

ベルトルト「……」ペロペロ

ベルトルト(アニの手……昔と変わったな。今は立体機動でトリガーを握るから……、
      マメだらけだ……この厚さや固さがないと、あんなに早く動けないよね)

アニ「……ふ……、くすぐったいよ。そこばっかり、なにしてるの」

ベルトルト「……う、うう……」ペロペロ

アニ「ああ……アザやマメを舐めてるの? いたわってるつもり?
   ……なかなか大したものでしょ、それ」

ベルトルト(アニは僕の言わんとすることを察してくれる……本当に飼い主みたいに)

アニ「……ふ……、ふふ。くすぐったいって……」

ベルトルト(笑ってる……笑顔は同期の前でしか見せなくなってたのに。……同期の……)

アニ「……うっ、痛……」

15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 19:32:41 ID:kZZ9Wzqw
ベルトルト「……あ……」

アニ「イテテ……、そこ、切り傷があるんだ……噛むと痛いよ。
   舐めるくらいならいいんだけど……」

ベルトルト(血の味がしている……、どうしよう。コレ消毒になるのかな。血も出たのは吸った方がいいよね。治さないと)

アニ「そんな熱心に吸わなくていいよ……なんか赤ちゃんみたいだね、あんた」

ベルトルト「ぷはっ。……」ジッ

アニ「? どうかしたの」

ベルトルト「アニ……それ、なんで治さないの?」

アニ「……」

ベルトルト「……」

ベルトルト(ライナーにも、同じひっかき傷がある。他の多くの同期にも。
      そして僕にはない。

      その傷は、104期で可愛がった猫がつけたものだからだ。
      初めはクリスタが飼ってたという猫が……。

      僕は猫がいたことすら知らなかった)

16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 19:37:00 ID:kZZ9Wzqw

アニ「別に……なんとなくだよ」

ベルトルト「治しなよ。破傷風になるかも」

アニ「こんな小さな傷で……」

ベルトルト「治してよ……」

アニ「……」

ベルトルト「アニ、ぁ!? ……」ガポッ

ベルトルト(痛、……アニの手が口の中に……)

アニ「ほら」シュウウ

ベルトルト「!」

アニ「……治したよ。よくわかったでしょ、これでいい?」

ベルトルト「……うん」

ベルトルト(……アニの匂いと肉の焼けるような匂いが口いっぱいに……)

17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 19:39:25 ID:kZZ9Wzqw
アニ「よし。ああそうだ。これ」

ベルトルト「え、……おかし?」ガサ

アニ「この時間、お腹空かせてるみたいだから。労ってあげようと思ってね」

ベルトルト「え、……あ、ありがとう!」ガサガサ

ベルトルト(ジャムをサンドしたクッキーだ。故郷でよく食べてた……なつかしいな……)パク

アニ「……」

ベルトルト「……あ、いっしょに食べようよ」(なんか気恥ずかしい……)

アニ「ああ、ありがとう。……ジャムを挟みすぎたね、手につく……」

ベルトルト「! あ……っ!」(さっき噛んだ手を口に寄せて……)

アニ「? ……ああ、これだと間接キスになるんだね。ごめん」

ベルトルト「い、イヤ……ごめん」

・・

18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 19:41:25 ID:kZZ9Wzqw
入団式前日

アニ「じゃあ、最終決定だ。憲兵団はわたし一人で行く」

ベルトルト「……うん」

アニ「……今日は解散だね」

ベルトルト「あ。……あの」

ベルトルト(どうしよう。もう話せる機会は最後かもしれない)

アニ「……なに」

ベルトルト「……ねえアニ、必ず、生きて……故郷に帰ろう。勿論3人で。
      そしたら3人で、!」グイ

アニ「わかってるから、いいよ。……今そんなこと言ったら、なんだか死んじゃいそうだろ」

バタン

ベルトルト「あ……」

ベルトルト(そんな……物語じゃないんだからさ)

・・

19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 19:46:47 ID:kZZ9Wzqw
約一ヶ月後 巨大樹の森

アニ「……ハア、ハア、」

アニ(やられた……巨大樹の森に誘いんだのは調査兵団の罠だったのか。

   巨人から脱出した今……向こうは油断をしている。……チャンスは今しかない。
   だがこちらの余力も……。まともにやりあったら、死ぬ可能性が高い……。
   なるべく早くカタをつけて……。   

   ! ……さっきの混乱で、指輪が壊れてる。変身するときは手を噛まなきゃ。手を……。……)

アニ「……ごめんね……」チャキ バシュンッ

・・

20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 19:49:59 ID:kZZ9Wzqw
数週間後 憲兵団所有施設

バシュンッ バシュンッ

ベルトルト「……!」スタッ

ベルトルト(侵入できた。ここだ、アニは今……生きてここに……、調査兵団地下から、
      憲兵団に所有を移されて……、ここに囚われているんだ!)タタタタ

ベルトルト「アニっ、!!」ガチャ

結晶化アニ「……」

ベルトルト(……嘘だろ、アニ、結晶化……して)

ベルトルト(自決したのか)

ベルトルト(アニ……こんな冷たい中で最期を……。追い詰められて……そして……)コツン

ベルトルト(……根絶やしにしてやる)

ベルトルト(根絶やしにしてやる……根絶やしにしてやる根絶やしにしてやる根絶やしに根絶やしに根絶やしに)シュウウウ……

カンカンカンカンカン!!

「誰か侵入しているぞ!」

「どこだ!」

21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 19:56:29 ID:kZZ9Wzqw
ベルトルト(根絶やしにねだ……。……)シュウウウ ムニ

ベルトルト「腕?」

ベルトルト(アニの腕だ)

ベルトルト(……僕の蒸気の熱で、結晶が溶けてる?)

23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 19:59:55 ID:kZZ9Wzqw
「いたぞ!」

「おいそこで何してる、おまえ何者だ!?」

ベルトルト「ああ、アニ……、アニ、遅くなってごめん、ごめんね。罰ゲームを受けるよ……」チュ……カプ、ガリッ

アニ「!」

ピカッ

ズウウウウウン……

ベルトルト「……。!?」ハッ

女型の巨人「……」ゴオオオ……

ベルトルト「……アニ?」

「……め、女型の巨人が目覚めたぞ!?」

「なんということだ、オイ本部にれんら」ドンッ プチ

・・

24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 20:02:37 ID:kZZ9Wzqw
屋外

ドスンドスンドスン…… ドスン

女型の巨人「オオ……」

ベルトルト「ああ、アニ、アニ……!」ヨタヨタ

シュウウ ブチブチブチブチ

アニ「……」ムク

ベルトルト「アニ、君、……眠りから覚めるなんてっ、……!」

アニ「……」ギュ

アニ「……童話じゃないんだから」


終わり

26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/15(土) 23:59:46 ID:KOJM/xWE
嫌いじゃない

引用元: http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1416043489/l30